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なぜ慶應理工は学門ごとの合格最低点を公表しないの?

先日、慶應のホームページで合格最低点、受験者平均点などの入試結果が公開されました。

慶應理工は学門A~Eの学門別に募集を行っていますが、合格最低点や受験者平均点は、理工学部全体でしか公表されていません。今回は学門ごとに公表されない理由について書いていきます。

慶應理工はなんで学門全体の点数しか載っていないの?

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慶應の法学部には、法律学科と政治学科があり、それぞれ合格最低点と受験者平均点が公表されています。しかし理工学部は学部全体の点数しか分かりません。

学門ごとの点数を教えてくれないのは、教えたくないからだと考えられます。なぜ教えたくないのでしょうか?

 

学門ごとの点数を教えたくないのは、学問ごとの合格最低点が知られたくないからです。もっと言うと、どの学門が入りやすいのかをはっきり公表したくないからです。

 

では、なぜどの学門が入りやすいのかを公表したくないのでしょうか?

それには慶應理工のある特徴が関係しています。

慶應理工には全部で5つの学門があり、入学時にはいずれかの学門に所属します。

そして2年生から学科に所属することになります。

 

これは他の大学でもよくある話ですが、慶應理工が他の多くの大学、学部と違うのはここからです。

 

普通は「ある学科に進もうと思ったら、基本的にこの学部からしか進めない」というのが決まっていますね。

しかし慶應の理工学部の進学システムは複雑です。こちらの表を見てください。

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例えば物理情報工学科は学門Aと学門Bから、管理工学科は学門Cと学問Dから進学できるなど、複数の学門から進学可能な学科があります。一方で物理学科や化学科など1つの学門からしか進学できない学科もあります。

 

全部で11学科とそれほど学科数が多いわけではありませんが、ある学科に複数の学門から進学できるのです。

そのため、多くの受験生は希望の学科に進学できる学門の中で、最も合格最低点が低い学科を目指そうとするでしょう。

こうなると何が問題なのでしょうか?

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例として電気情報工学科を考えてみましょう。電気情報工学科には学門Aと学門Bから進学可能です。仮に学門ごとの合格最低点が公表されていて、例年、学門Aの方が合格最低点が低いということが分かっていたとします。

そうすると電気情報工学科に進学したい人の大半が、入りやすい学門Aを受験するでしょう。

 

学門Aからは20%、学門Bからは30%進学できるのだから、より割合の高い、学門Bに集まるのではないか?と思うかもしれません。

確かに学科ごとに定員は定められており、1年次の成績が良かった人から順に学科を選択していくので、成績下位の人は希望の学科に進めない可能性があります。

 

しかし大学生の多くは、入学さえできれば、あとは何とかなると思っています。そのため大学入試時の難しさをできるだけ減らそうという考えになる人が多いです。

確かに「学門Aからは5%、学門Bからは45%進学する」など、極端に割合が偏っていれば、学門Bの方が入学難易度が高くても、学門Bを目指すでしょう。

 

話がそれましたが、仮に電気情報工学科に進学したいと考えている受験生の多くが、学門Aを目指してしまったら何が起きるでしょうか?

学門Aでは電気情報工学科に進学を希望する人が多くなりすぎてしまい、電気情報工学科に行けなくなってしまう人が一定数、出てくるでしょう。

逆に学門Bでは電気情報工学科に進学したい人が少なくなり、第一希望でないのに電気情報工学科に進学することになる人が出てきてしまうかもしれません。

 

大学としては、そのような事態になるのを避けたいのだと考えられます。

つまり慶應は未来の慶應理工生ができるだけ希望の学科に進学できるようにするために、合格最低点を公表していないと言えます。受験生より慶應理工生の将来を考えた上での結果と言えるでしょう。

 

ただ、各予備校は合格者と不合格者の模試の結果などから、学門ごとの偏差値を求めています。予備校の偏差値を見れば、ある程度どの学門が難易度が高いのかは分かるでしょう。

最後に

学門ごとの合格最低点が公表されない理由は分かったけれど、受験者の立場からしたら納得できないですよね。

私も現役時、補欠落ちをしたので、あと何点あれば合格だったのか知りたかったです。

来年リベンジを考えている方は、受かるよう努力してください!