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【早稲田大学2021】出題ミスで全員正解になったのに追加合格者が0なんてあり得るの?

前回、早稲田大学人間科学部の2021年度入試で出題ミスがあったと、4月になって明らかになったことについて記事を書きました。

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 詳しくは上の記事を読んでほしいのですが、生物で出題ミスがあり、出題ミスがあった問題は全員正解となりました。それによって得点が上がった人は一定数いるはずですが、追加合格者は一人もいなかったと大学側は発表しています。

 

「追加合格者が一人もいない」なんてことは、あり得るのでしょうか?今回は追加合格者が1人もいないのは不自然かどうかについて調べていきます。

出題ミスで何点上がるの?

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出題ミスがあった問題は1問です。その問題を間違えた人は点数が上がることになります。

 

早稲田大学人間科学部の生物の試験は、50点満点で解答数が全部で50個あります。そのため、配点は1個1点だと考えられます。つまり出題ミスにより、素点が1点上がる人が一定数いるわけです。

(素点とは得点調整前の得点のことです。早稲田大学人間科学部の入試では、得点調整が行われていますが、得点調整については後ほど詳しく触れることにします。)

 

早稲田大学人間科学部の入試は、英語、数学、理科がそれぞれ50点満点で、合わせて150点満点です。変わるのは1点とは言え、150点満点の試験なので結構大きいですよね。

生物選択者は何人いた?

早稲田大学人間科学部の理科は、物理、化学、生物の中から1科目選んで受験することになっています。そのため、まずは今年の入試で生物を選択して受験した人が何人くらいいたのかを考えます。

 

今年の人間科学部の一般選抜における受験者数は4909人です。このうち生物選択者が何人いたのかは発表されていません。

 

しかし過去の入試で、生物選択者が何人いたのかは発表されています。そのため、過去3年の生物選択者の割合を、今年の生物選択者の割合として考えることにします。

 

人間科学部の過去3年の入試結果

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(生物選択者の割合がかなり低いのは、全体の受験者に文系も含まれているためです。)

 

過去3年の生物選択者の割合の平均は約2.26%です。仮に今年も2.26%だった場合、今年の生物選択者数は、111人です。

追加合格になる可能性がある人数

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※この説明はかなりややこしいので、理解するのが難しい場合は、軽く読み流してください。

 

次に点数が1点上がったら、合格になる人がどれくらいいるのか考えます。要するに「合格最低点の1点下~合格最低点」の受験者数を考えるということです。

 

もちろん、早稲田大学人間科学部の入試では、得点調整を行っているので、素点が1点上がったら調整後の得点も1点上がるとは言えません。しかしここでは単純化のため、出題ミスの問題が不正解だった人は、1点上がると仮定します。

 

早稲田大学の得点調整では、偏差値法が使われていると言われています。偏差値法の場合、受験者平均点を取ると調整後の得点は、ちょうど満点の半分の点数になります。

人間科学部の入試は150点満点で、全教科について得点調整が行われているので受験者平均点を取った人は、得点調整後の点数は75点になります。

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人間科学部では、例年、受験者の10%くらいが合格しており、得点調整後の合格最低点は90点くらいです。受験者平均点より15点ほど高くなっています。

 

得点が正規分布の場合、上位10%の人の偏差値は62.8です。そして受験者平均を取った人の偏差値は50なので、偏差値の差は12.8です。

 

偏差値法による得点調整で15点上がったときに、(正規分布だった場合)偏差値は12.8上がるわけです。そのため、厳密には正しくありませんが、1点下がったら偏差値は12.8/15≒0.85下がると考えます。

62.8-0.85=61.95です。正規分布では偏差値61.95~62.8の間には、全体の約1.6%のデータが含まれます。

 

そのため、今回は「合格最低点の1点下~合格最低点」の受験者数が、全体の受験者数の1.6%いると考えます。

 

先ほど生物選択者は全部で111人と求めました。その1.6%は約1.78人です。

出題ミスの問題の誤答率

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点数が上がるのは、出題ミスの問題を間違えた人だけです。そのため、間違えた人がどのくらいの割合いたのかを考えます。

 

私は生物を勉強したことがないため、出題ミスの問題の難易度は分かりません。そこで今回は、出題ミスの問題の正答率は、全体の正答率と同じであると仮定します。

 

人間科学部の生物の受験者平均点は、毎年大きく異なりますが、25~35点くらいが多いです。そこで今年の受験者平均点を30点と考えます。

 

合格するのは全体の約1割なので、合格ラインの人の点数は、受験者平均点より高くなります。そこで今年の合格ラインの点数は35点と仮定します。

 

そうすると50点満点なので得点率は7割です。これより出題ミスの問題の正答率も7割、すなわち間違えた人は3割になります。

結論

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生物選択者で「合格最低点の1点下~合格最低点」の人は1.78人であり、このレベルの人で、出題ミスの問題を間違えた人は3割と求めました。

 

すなわち今年の入試で出題ミスによる全員加点によって、追加合格となる人数は

1.78×0.3=0.534人です。

 

よって追加合格者が1人もいないのは、普通にあり得るという結果になりました。

 

最後に

今回、出題ミスがあったのが受験者の少ない生物で良かったですね。これが他の科目だったら、追加合格者が出た可能性は極めて高かったと思います。