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【共通テスト】9段階の段階別評価 スタナインって何?

共通テストの開示を希望した人には、結果が返却されました。

 

去年までは点数しか書かれていなかったのですが、今年は点数の横に何やら段階表示として1桁の数字が書かれています。

左:昨年まで 右:今年

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段階表示とは何なのか、そして何のために導入されたのか、またどのような基準で段階を分けているのか、知らない方が多いでしょう。

今回はこの段階表示について詳しく解説します!

段階表示の概要

共通テストの受験案内には次のように書かれています。

 段階表示は,大学入学共通テストより導入される成績表示の方法であり,各大学の入学者受入れ方針に応じた,受験者の多様な評価(方法)に活用できるよう,従来の科目別得点に加えて,全体における各受験者の位置づけを示すものです。

なお,試験成績としては「科目別得点」における 1 から 9の 9 段階として表示します。また,理科①については,「合計点」においても 1 から 9 の 9 段階として表示します。

 

要するに1点ごとの細かい評価に加えて、ざっくりとした9段階の評価も導入されたということです。

段階表示の目的

段階表示にすることに何か意味があるのだろうか?と思う方は多いでしょう。

先ほどの受験案内に「受験者の多様な評価(方法)に活用できる」と書いてありましたが、あまりピンと来ないですよね。

 

段階別評価が導入されたのは、「知識偏重の1点刻みのテストからの脱却」のためと言われています。

 

「1点刻み」「一発勝負」といった従来の入試の仕組みが批判され、能力や意欲、適正を多面的・総合的に評価する方法へ転換しようとする動きが、政府の中であったようです。

 

正直、1点刻みを段階別評価に変えたくらいでは、「能力や意欲、適正を多面的・総合的に評価する方法へ転換する」ことはない気がします。

段階別評価の方法

科目別に9段階の評価をするということですが、どのように9段階に分けるのでしょうか?

共通テストでは科目別に「スタナイン」と呼ばれる方法を用いて、得点を9段階評価に直します。

 

「スタナイン(Stanine)」とは,分位点による区分法の一つであり,受験者を得点順におおよそ 4,7,12,17,20,17,12,7,4%の群に分割し,科目別得点を得点の低い方から順に 1 から 9 の 9 段階に換算する方式です。

 

要するに上位からのパーセンテージ段階別評価は、下の表のように対応しているということです。

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上位4%などと決められていますが、この数字にはどういう意味があるのだろうか?と疑問に思ったかもしれません。

この数字は受験者の得点が正規分布だった場合の偏差値と関係しています。

 

正規分布とは一言で言えば、平均値を中心とする、左右対称な山なりの分布のことです。

ソース画像を表示

 

得点分布が正規分布だった場合、スタナインのパーセンテージと偏差値は、以下の表のように対応しています。

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おおよそ偏差値を67.5~, 62.5~67.5, ・・・, 32.5~37.5, ~32.5と5刻みにして、9段階に分けようとしていることが分かります。

当然ですが、段階別評価の5は偏差値47.5~52.5となっており、真ん中が偏差値50になっています。

段階別評価は難関校では導入されない⁉

これは私の考えですが、段階別評価は東大や京大を始めとする難関校で導入されることはあり得ないと思います。

 

先ほど説明したように、この段階別評価では、正規分布の偏差値67.5以上にあたる上位4%の人は、一律に一番上の9段階になります。これが難関校では問題になってきます。

 

以下は大学入試センターから発表された、2021年共通テストの段階表示換算表です。数学Ⅰ・数学Aと国語を比較して見ていきます。

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注目すべきは上位の段階(7~9あたり)の点数範囲です。

 

数学Ⅰ・数学Aでは7~9段階では、ほぼ点数範囲に差はありません。
しかし国語では、7, 8段階に比べて、9段階の点数範囲がかなり広くなっています。

 

すなわち、国語のような得点のバラつきが小さく、満点に近い点数を取る人が少ない教科だと、一番上の段階の点数範囲が広くなりすぎてしまうというのが、このステナイン方式の問題点です。

 

このような結果になるのは、満点を取った場合の偏差値が「数学Ⅰ・数学Aだと68くらい、国語だと75くらいになる」といった感じで大きく異なるためです。

 

点数をそのまま合否に用いる場合、国語で200点を取ったら171点の人に比べて、大きなアドバンテージになります。しかし段階別評価の場合、どちらも9段階で差はありません。

 

いくら1点刻みの脱却を目指しているとはいえ、200点と171点が同じ評価と言うのは、納得がいかないですよね。

 

つまり段階別評価では、高得点者が少ない科目で高得点を取ったとしても、その価値がなくなってしまうので、志願者のレベルが高い難関校では、導入されることはないだろうということです。

 

いずれにせよ、東大合格者などのレベルになってくると、ほぼ全教科9段階になって差がつかなそうですね。

 

共通テストのボーダーが7割くらいの国公立大なら、9段階の人は多くないと思うので、段階別評価を導入する意味はあるかもしれません。

最後に

 せっかく導入された段階別表示ですが、今年の入試で利用した大学はなかったようです。

結局、導入する大学はほとんど出ないまま、いつかなくなってしまう気がします。

皆さんは、1点ごとの評価と段階別評価だったらどちらが良いですか?