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【横浜国立大】定員割れはしていなかった!?二次募集になった理由を考察!

横浜国立大学は準難関大学と言われており、人気の大学です。

 

特に同レベルの国公立大学に比べて、後期の募集人数が多いため、後期には旧帝大などの難関大学を第一志望とする生徒が多く集まり、例年ハイレベルな争いになっています。

 その横浜国立大学が、欠員補充による二次募集を行うことは異例の事態です。

 

二次募集の出願方法や入学手続き日などを知りたい方は、こちらの記事を読んでください。

www.waseriko.com

 

横浜国立大学が二次募集を行うことになってしまった理由としては、次の2パターンが考えられます。

 

1. 募集人員を満たせるほどの志願者がいなかった

2. 志願者は十分にいたのに、合格ラインを高く設定しすぎてしまった(合格者数が少なかった)

 

1なら仕方ないですが、2なら横浜国立大学の入試課はアホということになります。

 

今回は横浜国立大学が二次募集を行うことになった理由がどちらなのか、入試データから計算して求めていきます。

 

計算方法

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結論だけ読みたい人は、「結論」という見出しの部分まで飛ばしてください。

 

横浜国立大学に出願したとしても、他の大学に合格し、横浜国立大学に進学する気が無くなってしまう人がいます。

そのため志願者(出願者)のうち、最終的に入学意思がある人がどれくらいいるのかを考えます。

二次試験を辞退する人

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まず例年であれば、二次試験日より前に進学先が決まったことによる二次試験の欠席者がいます。

 

今年は二次試験を行わないため、欠席者はいませんが、二次試験日には既に横浜国立大に進学する気はなくなっており、受かったとしても辞退するという人がいます。

 

過去2年の二次試験の欠席率から、その辞退率を予想します。

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過去2年の結果から、前期の欠席率は約5%後期の欠席率は約55%だと分かります。

 

もちろん欠席者の中には、横浜国立大を第一志望としていたけれど、体調不良等で残念ながら受験できなかったという人もいると思いますが、大半は進学先がもう決まって、受験する必要がなくなった人たちです。

 

そこで今年の前期志願者の5%、後期志願者の55%も、もし二次試験があった場合、二次試験を欠席したであろう人(横浜国立大を辞退する人)だと仮定します。

合格しても辞退する人

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さらに例年、合格しても入学しない人も一定数います。過去2年の辞退率は、次の表の通りです。

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前期は約8%、後期は約24%の合格者が入学を辞退していることが分かります。

募集人員を満たすのに必要な合格者数

(受験者数/志願者数)(入学者数/合格者数)の値から、募集人員を満たすのに必要な合格者数を考えます。

募集人員を満たすのに必要な合格者数とは、辞退者数を見込んで出すべき合格者数のことです。

 

前期の(受験者数/志願者数)は0.95、(入学者数/合格者数)は0.92、後期の(受験者数/志願者数)は0.45、(入学者数/合格者数)は0.76という先ほど求めた数値を使用します。

 

募集人員を満たすのに必要な合格者数は、次の式から求められます。

募集人員を満たすのに必要な合格者数

=募集人員/(受験者数/志願者数)/(入学者数/合格者数)

 

分かりにくい場合は

募集人員

=募集人員を満たすのに必要な合格者数×(受験者数/志願者数)×(入学者数/合格者数)

を式変形した結果と考えれば、分かりやすいと思います。

要するに「募集人員=必要な合格者数×二次試験の受験率×入学手続き率」という関係です。

 

上式を使って求めた募集人員を満たすのに必要な合格者数志願者数を比較すると次のようになります。

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(志願者数/募集人員を満たすのに必要な合格者数)が選抜する時の倍率の目安になります。

 

したがってこの表からトータルで見た場合、前期は約1.5倍、後期は約1.3倍の選抜を行っても、定員割れはしないということが分かります。

 

※もちろん辞退率が1,2年前と同じくらいという仮定のもとで計算した結果なので、絶対に定員割れしないという保証にはなりません。

 

ちなみに(志願者数/募集人員を満たすのに必要な合格者数)を倍率と考え、過去2年の倍率(受験者数/合格者数)と比較すると、次のようになります。

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やはり過去2年と比べると、倍率は大きく下がっています。


結論

そして最後に実際の2021年度入試の合格者数と、計算で求めた募集人員を満たすのに必要な合格者数を比較します。

申し訳ありませんが、2021年度入試の合格者数のデータは、後期しか持っていないので、後期のみの比較となります。

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多くの学科で実際の合格者数の方が、必要な合格者数より少なくなっています。要するに本当に定員割れをしていたわけではなく、合格者数を少なくしすぎたということです。

 

特に情報工学EPは、募集人員の10倍近くの志願者がいたにもかかわらず、厳しい選抜を行ってしまい、入学者が十分に集まらず、結果的に二次募集をするという非常に滑稽な事態が発生していまいました。

 

辞退率の予想が甘かったのか、入学難易度の高さを保つために、志願者が少ないという現実から目をそむけて合否ラインを決めてしまったのか、理由は定かではありません。

 

しかし気をつけて合格者数を出していたら、明らかに二次募集をせずに済んだと言えるでしょう。

 

追加合格も行っている!?

国公立大学において、入学手続き者が定員に満たなかった場合に、欠員を補充する方法としては、二次募集の他に追加合格もあります。

追加合格は繰り上げ合格とも言い、不合格者を合格にすることです。

 

2020年度では二次募集を行った国公立大学は4校でしたが、追加合格を行った国公立大学は35校もありました。

 

横浜国立大は二次募集を行うので、追加合格は行わないのかと思いきや、追加合格も実施すると、3月28日にホームページで発表がありました。

 

追加合格が行われるのは、二次募集も行われる理工学部と、経営学部都市科学部です。いずれも後期日程に出願した人が対象です。

 

追加合格の該当者は、電話で連絡が来ます。

 

最後に

不合格者がある程度いるなら、足りなかった分は、全て追加合格で取れば良かったのではないか?と思う方も多いでしょう。

 

私もそう思いますが、おそらく横浜国立大は、二次募集をした方が、全て追加合格で欠員補充するよりレベルの高い生徒を集められると考えたのでしょう。

 

特に前期不合格者のレベルはあまり高くないことが予想されるので、後期出願者のみ追加合格を行うのは、理にかなっています。

 

実際、昨日は二次募集の出願日の1日目だったわけですが、多くの受験生が横浜国立大に願書を出しに行ったようです。二次募集とは言え、倍率が高くなり、割とレベルの高い争いになる可能性が十分にあります。

 

そのため横浜国立大の意図通り、前期不合格者を繰り上げて合格にするより、レベルの高い生徒を集められるかもしれません。